その13 唐子台
その12 ロープ
舞台の脇に置いてあるこの不思議な引き出し。これは、舞台転換を行う大道具が使うロープ入れです。
さっと取り出せるように、からまないようにして箱の中に入れておきます。素材は綿で、色は白と黒。
両手を広げると6尺くらいの長さになり、自分の身体をものさしがわりにして、必要な長さをはかって使っています。
その11 浅葱幕
歌舞伎の舞台では多種多様な幕が使われますが、幕の種類によって扱う係が異なります。この浅葱幕(あさぎまく)は、大道具が扱うもので、いろいろな演目で多用されています。
浅葱幕の主な使い方は、「振り落とし」と「振りかぶせ」。「振り落とし」は、あらかじめ舞台に幕を垂らしておいて、ぱっと幕を落として舞台を一瞬で見せるというもの。今月(2014年7月)の『夏祭浪花鑑』の大詰(屋根の上)の冒頭でも「振り落とし」があります(以下の写真)。
「振りかぶせ」は、逆にお芝居が進行しているときに、舞台上からぱっと幕をおろして舞台を隠してしまいます。いずれも歌舞伎ならではの優れた演出です。

『夏祭浪花鑑』の大詰の「振り落とし」

浅葱幕を巻き上げているところ。
2014年7月公演、準備風景(その1)
7月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『夏祭浪花鑑』の「住吉鳥居前」。のれんを調整しています。

『夏祭浪花鑑』の「お鯛茶屋」。舞台に飾った背景画に、松を描き足しているところ。下書きなしで、あっという間に描いてしまいます。

『修禅寺物語』。屋体裏に、製作、塗り方、転換などの責任者が集まって、なにやら調整しているところ。

『夏祭浪花鑑』大詰の屋根を仕上げているところ。この屋根の上で、大立ち回りが繰り広げられます。
「KABUKI KOOL」はNHK WORLDの英語放送番組で、2014年4月より放送が開始されています。番組のホストを務めるのは市川染五郎丈と春香クリスティーンさん。歌舞伎の魅力を海外の初心者向けにわかりやすく紹介するという番組です。
6月に放送された第3回のテーマは「Unique Kabuki Stage Structures」。大道具の製作の様子も番組内で少しご紹介いただきました。
全10回の放送予定とのことで、これからもさまざまな切り口で歌舞伎を紹介されるそうです。ぜひご覧くださいませ。
KABUKI KOOLのWebサイト
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/tv/kabukikool/
春香クリスティーンさんが大道具の仕事場を訪問した様子の動画もアップされています。
KABUKI KOOLのWebサイト(動画は3分半くらいです)
Painting Kabuki Sets
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/tv/kabukikool/haruka_visit_3.html
2014年6月公演、準備風景(その3)
6月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、公演前月の末ごろに行います。

『蘭平物狂(らんぺいものぐるい)』では、菊の花がたくさん登場します。
以前、歌舞伎の造花についての特集記事をつくりましたので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
【連載】歌舞伎座の大道具を支える職人 造花
その1 http://kabukizabutai.co.jp/saisin/tokusyuu/369/
その2 http://kabukizabutai.co.jp/saisin/tokusyuu/520/
その3 http://kabukizabutai.co.jp/saisin/tokusyuu/535/

『実盛物語(さねもりものがたり)』。写真に写っている階段は「入れ歯」と呼んでいるもので、高さは七寸。ちなみに屋体(やたい)の高さは、「常足(つねあし)」で一尺四寸(階段の2倍の高さ)。このように歌舞伎の屋体の足の高さは、七寸が基本単位となっています。「入れ歯」は今回は1段ですが、『吃又』などでは3段の入れ歯が使われます。

この幕は「網代幕(あじろまく)」です。『蘭平物狂』では、御殿から奥庭へと転換する際に、この幕を使います。 歌舞伎では多種多様な幕が使われますが、幕の種類によって扱う係が異なります。大道具では、この網代幕などの「道具幕」、三色縦縞の「定式幕(じょうしきまく)」、「浅葱幕(あさぎまく)」など、たくさんの幕を担当しています。幕も種類や扱い方など、現場を追いかけてみると、なかなか奥が深い世界です。
2014年6月公演、準備風景(その2)
6月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、公演前月の末ごろに行います。

「所作台(しょさだい)」を片付けているところです。所作台をあげて、それから一人で担いで運んでいくのですが、あげるときには写真のように反対側を足でおさえてもらうと、やりやすくなります。 ひとりで所作台をあげようとしているところに通りかかると、大道具以外の人や女性なども、自然にひょいと足を添えて手伝っています。

『名月八幡祭』大詰の「火の番小屋」です。文字の入った出入り口の障子は「腰高障子(こしだかしょうじ)」と呼んでいます。
2014年6月公演、準備風景(その1)
6月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、公演前月の末ごろに行います。

『蘭平物狂(らんぺいものぐるい)』。所作(しょさ)の台をみんなで敷いているところです。

花道に所作を敷いているところ。

大奈落での作業の様子。限られたスペースを最大限活用しながら、準備をしていきます。
2014年5月公演、準備風景(その2)
5月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、公演前月の末ごろに行います。
5月2日に朝日新聞デジタルに掲載された記事にも、5月公演の準備風景が紹介されています。こちらも合わせてご覧いただけましたら幸いです。
【朝日新聞デジタル&W】
歌舞伎座の「大道具」ができるまで
http://www.asahi.com/and_w/gallery/20140502_kabuki/

『春興鏡獅子』の金の襖(ふすま)。「経師(きょうじ)」という紙を張る専門の担当者が金紙を張り、絵描きが牡丹の絵を描いて仕上げています。

『幡随長兵衛』の序幕「村山座舞台の場」。舞台の上に、また舞台! 劇中劇が楽しい趣向ですね。

『幡随長兵衛 水野邸座敷の場』の絵(庭遠見)を手直しているところ。絵は床にねかせて描くので、こうして舞台に飾り照明を当てた状態で、細かいところの仕上げをします。

大工(製作課)と色を塗る「塗り方」(第二美術課)は、千葉県の松戸で仕事をしています。 写真は、その松戸のゴミ箱。ビッグサイズです!(『春興鏡獅子』の金襖もちらっと写っていますね)
2014年5月公演、準備風景(その1)
5月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、公演前月の末ごろに行います。
5月2日に朝日新聞デジタルに掲載された記事にも、5月公演の準備風景が紹介されています。こちらも合わせてご覧いただけましたら幸いです。
【朝日新聞デジタル&W】
歌舞伎座の「大道具」ができるまで
http://www.asahi.com/and_w/gallery/20140502_kabuki/

松戸の製作場で『矢の根』の屋体を仮り組みしているところ

この写真に写っているのは、製作課のメンバーです

「道具調べ」で、『毛抜』の提灯を取り付けているところ