360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社

社員紹介
先輩×後輩インタビュー

各職場で働いている社員が、日々の仕事内容や現場の雰囲気、入社当初の様子などを語りました。

「ものをつくる」

デザイン室 
舞台を後世に伝える
大切な記録「道具帳」

先輩:田淵宣孝

昭和33年生まれ。デザイン室・課長。武蔵野美術大学油絵科を卒業し、22歳で入社。第二美術課(塗り方)で長く仕事をしてきたが、3年前から「道具帳」制作に専念。

後輩:松村隆敏

昭和34年生まれ。舞台装置家の弟子として現場で経験を重ねた後、平成24年に入社。

こちらの部署では、どんなことをしていますか?
田淵:歌舞伎の大道具では、「道具帳」というデザイン図を元にセットや背景画などを作っていきます。その「道具帳」を制作する部署です。
「道具帳」とは、舞台を真正面から見たデザイン画のことで、1/50の縮尺で描かれています。歌舞伎ではこれまで演じられた演目を繰り返して上演することがほとんどですが、同じ演目でも劇場によって、舞台の大きさが違いますし、演じる役者によって細かな部分が異なってくることも多々あります。それで、上演される演目が決まると、古い道具帳を元にして新しく書きおこす作業が必要になってくるのです。
道具帳を描くには、さまざまな知識や経験が必要そうですね
田淵:私は、塗り方(第二美術部)の仕事を長くやっていたのですが、並行して「道具帳」を描く修業もしていました。塗り方の仕事の経験が、今すごくいきていると思いますね。
松村さんは舞台装置家の弟子としての経験が長いそうですね。「道具帳」を作るという仕事をどのように考えていますか?
松村:「道具帳」は同じ演目でも上演ごとに異なります。そういう意味で、歴史的な資料を描いているという意識もありますし、未来の後輩達のために描いているという感覚もあります。昔、道具帳を描いていて、先輩に「それは道具帳ではない」と言われたことがありました。「おまえは柱という形を描いている、柱の前にある空気感、芝居の雰囲気が描けていない」と言われるのです。「道具帳」は単なるデザイン画ではなく、それだけでひとつの芝居を表現していなければならないものだと思います。

(この記事は、2013年に取材した内容に基づいて作成しています)
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