360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社

社員紹介
先輩×後輩インタビュー

各職場で働いている社員が、日々の仕事内容や現場の雰囲気、入社当初の様子などを語りました。

「ものをつくる」

第二美術課 
歌舞伎らしい色調でつくり出す
舞台の風格

先輩:高橋敬子

昭和46年生まれ。第二美術課主任。女子美術大学でデザインを学んだ後、アルバイトから歌舞伎座舞台の仕事に関わるようになる。第二美術課で働きはじめて25年目。

後輩:関根綾香

平成7年生まれ。入社、4年目。中央工学校 エンターテインメント設営科卒業。小学生のときに鑑賞したミュージカルに影響を受け、舞台芸術に関心を持つ。

第二美術課は、「塗方」と呼ばれていますが、どんな仕事をしていますか。
セットの建物の壁や柱、塀など、建造物の立体や平面に色を塗るのが主な仕事です。うちの会社は、絵画的な絵を描く「絵描き(第一美術課)」とわたしたち「塗方(ぬりかた)」が独立しています。大道具会社はたくさんありますが、こうしてそれぞれ専門でやっているところは、他にはないと思います。
たとえば、『勧進帳』などの松羽目物(まつばめもの)の演目では、背景に大きな松の絵があります。あの松を描くのは「絵描き」、その背景の板の部分を塗るのが私たち「塗方」です。
具体的には、どういう作業をするのでしょうか。
高橋:塗方は、色を塗って道具を作る仕事ですが、その下準備も結構あります。木の枠に布を張ったり(大きなキャンパスのようなものを作る)、製作課の作った立体物の道具に紙を貼ったりして、塗る準備をします。絵の具の色も作りますし、寸法を取るということもします。
それから地味な仕事ですが、刷毛などを洗う「洗い場」の仕事も大切で、これをする人がいないと仕事は進みません。新人のうちは、この「洗い場」の仕事も多くなります。
関根さんは、今、4年目ですがインターンシップも体験していますよね。
関根:わたしは学生の夏休みにインターンシップで初めて、この職場を体験しました。想像以上にいろんなことをやらせてもらったので、楽しかったです。思った以上に身体を使うことが多くて、筋肉痛になりました(笑)。
塗り方は、刷毛を使うことが多いのですが、最初のうちは刷毛の動かし方などの基本的なことを教えてもらいながら、少しずつ仕事を覚えていきました。
後輩の関根さんから見て、先輩のどんなところがすごいと感じますか。
関根:もうとにかく、仕事のスピードが速いんです。たとえば、わたしが、いろいろ迷いながら1つのことをやり終えて、ふと顔をあげると、高橋さんはもう3つも4つも終わらせている。まだ、私は仕事全体の流れが把握できていないところもありますが、もちろん先輩はそのあたりもわかっているので、段取りも的確です。
高橋さんは、塗り方の仕事について25年目ですね。今は、どんな気持ちで仕事をしていますか。
高橋:大道具の中の塗方という仕事も、歌舞伎の伝統芸能を支える一部だと思います。これをいかに次の世代の人に伝えていくか、ということも考えるようにしています。一人ではできない仕事なので、若い人たちに頑張ってつなげていきたいです。
関根さんには、これからどんな風に仕事をしてもらいたいですか。
高橋:関根さんは本当に一生懸命、仕事に取り組んでくれています。すでに基本的なことは一通り教わって、何でも一人でできる力がついてきたと思うので、物おじせずに、どんどんやっていってほしいです。失敗してもいいんですよ。失敗しないと学べないことが、すごく多いですから。

(この記事は、2019年12月に取材した内容に基づいて作成しています)
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