360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社

社員紹介
先輩×後輩インタビュー

各職場で働いている社員が、日々の仕事内容や現場の雰囲気、入社当初の様子などを語りました。

「劇場ではたらく」

専門職「ツケ打ち」 
歌舞伎独特の音で
劇場全体を響かせる

先輩:大熊史郎

昭和41年生まれ。22歳のときに歌舞伎を見てツケ打ちに憧れ、大道具の世界に入る。実家は表具(ひょうぐ)店で父からその技術を受け継ぎ、経師(ふすまなどに紙を貼る技術)の仕事も担当している。

後輩:大津陽司

昭和50年生まれ。大道具という仕事に興味を持ち、18歳から歌舞伎座舞台で働きはじめる。

「ツケ打ち」はどんなことをする仕事ですか?
大熊:「ツケ」とは歌舞伎独特の効果音で、役者さんが走る場面に「バタバタ」と音をつけたり、見得(みえ)という緊迫感のある見せ場になったときにその動きをより大きく見せるために音をつけたりするものです。走る音ひとつにしても、若い娘と侍では音を変えますし、同じ役の人物が走る音でも心情や状況で微妙にトーンに変化をつけます。芝居に大きく影響を与えるものですから、こちらも芝居を深く理解をしていないとつとまりません。
手に持つ2本の木は「ツケ木」、床に置いている板は「ツケ板」と言います。
生の舞台なので、同じ演目でも日によって違うこともありそうですね
大熊:役者さんの体調によって、同じ動きも間(ま)が長かったり、短かったりすることもあります。こちらがしっかり感じとって、芝居にツケの音が溶け込むようにしないといけません。
大熊さんは「ツケ打ち」に憧れてこの世界に入ったそうですね
大熊:歌舞伎を見に行ったときに、舞台の端のほうでバタバタと音をたてている人がいて、かっこいいなと思いました。
初めて本番でツケを打ったのは何の演目でしたか?
大熊:『義経千本桜 すし屋』でした。26歳くらいだったと思います。
ツケ打ちの練習はどのようにやるのですか?
大津:ツケは、木の板を叩いて音を出しますが、最初のうちは道具を持たず、ひざを叩いて練習します。それから、本番中に先輩がツケを打っている後ろに座らせてもらって、見て学びました。
「ツケ打ち」は舞台課の仕事の一種ですね。職場の雰囲気は?
大津:仕事では上下関係がしっかりしていますが、仕事を離れるとみんな気さくで、先輩風を吹かせている人はいません。外部の方から、「みんな仲がよくていいね」と言われたりもします。
先輩の大熊さんから見て、大津さんの成長ぶりは?
大熊:勉強熱心でよくやっていると思います。ツケ打ちはやはり経験を積むことが大事なので、これからどんどん数をこなしていって欲しいですね。役者さんや他の音楽とぴったりと息が合うことは滅多になく、大先輩でも「まだまだ勉強中」とおっしゃいます。本当に奥深い世界だと思います。

(この記事は、2013年に取材した内容に基づいて作成しています)
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