360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社360年、毎日が創意工夫 歌舞伎座舞台株式会社

社員紹介
先輩×後輩インタビュー

各職場で働いている社員が、日々の仕事内容や現場の雰囲気、入社当初の様子などを語りました。

「ものをつくる」

第一美術課 
手足を伸ばして
大きくのびやかに画を描く

先輩:池田哲朗

昭和51年生まれ。第一美術課課長。東京電機大学大学院 工学部 建築学科修了。製作課の仕事も経験した後、第一美術課に異動。

後輩:坂本愛里

平成7年生まれ。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。大学在学中に舞台美術に興味を持つ。平成30年、歌舞伎座舞台に入社。

第一美術課は、「絵描き」とも呼ばれますが、どんなことをしていますか。
池田:歌舞伎の背景画や襖(ふすま)などに、絵を描くのがメインです。でも、ただ絵を描くだけではなくて、力仕事も多いですよ。歌舞伎の絵は大きいですから、それを運んだり、木枠にキャンバスを張ったりするような下仕事も多いです。体力がないと、続けられない仕事です。
舞台用の絵は、一般的な絵と、どのように違いますか。
池田:歌舞伎俳優を引き立たせるための絵である、というところが一番大きな違いです。歌舞伎の舞台特有の決まり事も多いですし、独特の遠近法もあります。それに、大人数で一緒に絵を描いていくというのも、ふつうの絵画制作と違うところだと思います。
歌舞伎の絵は、遠くから見ていただくことになりますから、細かいところを丁寧に描いても、見えないんです。近くでみると、ちょっと雑なのかな、と思うくらい大らかに描くほうが、遠くから見て、ぱっと引き立つ。描き方なども、ふつうの絵と違うところが、とても多いですね。
坂本さんは今2年目ですが、入社したてのころは、いかがでしたか。
坂本:こんなに汗をかきながら動くことはなかったので、最初のうちは筋肉痛になりました。大学のときに絵を描いたりもしていましたが、やったことがないことばかり。こんなに大きな刷毛を使ったことも、ありませんでした。それに、カナヅチや釘で、背景画用の大きな枠を作ったりすることも、初めてでした。
仕事をやっていく上で、必要な能力はどんなことですか。
池田:絵を描く経験や才能はどっちかというと、なくてもいいんです。さっきも言ったように、ここで作る絵はとても特殊なので、僕たちが一から教えていきます。何十年もここで仕事をしていくと、しぜんと絵を描く年数やキャリアは、増えていきます。
大切だと思うのは、コミュニケーション能力ですね。大勢で「あうん」の呼吸で仕事を進めていくので、今、自分がなにをやればいいのか、次はどういうことをやっていくのかなど、それぞれが素早く判断していく必要があります。
みんなで一緒にいる時間が長いですが、そのあたりはいかがですか。
坂本:そうですね、仕事をしているときも、休憩時間もわりとみんな一緒ですね。でも、大道具という仕事はそういうところだと思っていたのもありますし、みんなでモノを作る楽しさのほうが大きいです。仕事とプライベートのオンオフの気持ちの切り替えを、しっかりやるように心がけています。
坂本さんの目標は何ですか。
坂本:まだまだ経験が浅いので下仕事が多いんですが、少しずつ松の葉など細部を描かせてもらえるようになってきました。早く先輩のように、仕上げの作業をできるようになりたいですし、仕事の段取りなども自分で把握できるようになりたいです。

(この記事は、2019年12月に取材した内容に基づいて作成しています)
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