2014年10月公演、準備風景(その2)
10月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『鰯賣戀曳網』の2つ目の場面「五條東洞院の場」では、舞台の上のほうに紅葉が飾られます。その紅葉のボリュームを調整しているところです。

『鰯賣戀曳網』の五條東洞院の場のふすま絵です。高根宏浩先生の舞台美術で、大道具の絵描きが描いたものです。

『伊勢音頭恋寝刃』ののれんです。のれんも大道具が準備します。
その16 上敷(畳敷)その2
大道具では畳の部屋をあらわすときに「上敷(畳敷)」という長いゴザを用います。読み方は「じょうしき」です。今回は、転換の際の上敷の扱いについて、ミニレポートをしてみます。
以下の写真は、『伊勢音頭恋寝刃』の場面転換の練習風景です(2014年9月末の道具調べで撮影)。
廻り舞台(盆)を使って、裏側に飾ってある奥庭の場面にするのですが、上敷が邪魔にならないように盆の内側に寄せます。素早くきれいに寄せるのは、新人にとってはなかなか難しい様子。先輩が何度もお手本を見せて、指導していました!

左端が新人です。上敷をささっと寄せる練習中。

右の先輩がお手本をやってみせます。

新人ひとりで、何度も練習!
【大道具の道具】 上敷(畳敷)その1 はこちら
http://kabukizabutai.co.jp/saisin/odougunodougu/1578/
2014年10月公演、準備風景(その1)
10月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『伊勢音頭恋寝刃』奥庭。

『野崎村』。屋体の位置を確認しているところです。

ロープを結んでいるところ。結び方にもいろいろありまして、先輩(右側)が後輩に指導していました。大道具は天井にも吊り下げて収納しているのですが、このあたりもなかなか面白い世界です。
9月4日から歌舞伎座ギャラリー(歌舞伎座タワー5階)にて、「歌舞伎は旅する大使館<後期展示> 歌舞伎ファンを世界に」展がはじまりました。今回の展示では、1990年以降から最新の平成中村座ニューヨーク公演までの海外公演についてさまざまな切り口で紹介されています。
海外公演で上演回数の多かった『連獅子』『藤娘』などの衣裳やかつら、小道具の実物展示も。大道具のものとしては『連獅子』の「二畳台」が展示されています。お近くにお越しの機会がありましたら、ぜひおでかけくださいませ。

正面の舞台に展示されているのは『連獅子』の衣裳やかつら、小道具。衣裳の下にあるのが二畳台。ちなみに牡丹は小道具さんの扱いになります。
■■■ 歌舞伎座ギャラリー[歌舞伎は旅する大使館]■■■
■■■ <後期展示>歌舞伎ファンを世界に 概要 ■■■
【日程】
2014年9月4日(木)~2015年1月25日(日)
※10月24日(金)は14時開館
【休館日】
2014年12月27日(土)~2015年1月1日(木・祝)
【開館時間】
10:00~18:00
※最終入館は17:30まで
【会場】
歌舞伎座ギャラリー(GINZA KABUKIZA 歌舞伎座タワー5F)
【入場料(税込)】
一般:600円
小・中学生:500円(小学生未満無料)
団体:500円(20名様以上一律)
歌舞伎座ギャラリーについての詳しい情報やお問い合わせ先については以下をご覧下さい。
松竹株式会社 歌舞伎座ギャラリー
http://www.shochiku.co.jp/play/kabukiza/gallery/
2014年9月公演、準備風景(その2)
9月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『法界坊』「浄瑠璃 双面水照月」。白い布に包まれているものは浅葱幕。 舞踊のために所作台を敷いているので、雪駄を脱いでガチ袋に入れ、足袋で作業をしています。

『法界坊』「浄瑠璃 双面水照月」で浅葱幕(あさぎまく:手前の青い色の幕)を振り落とした直後。浅葱幕を仕込んだり、振り落としたり、落ちた幕をはけさせているのも大道具です。

上からのれんみたいにさがっている桜は「吊り桜(糸桜)」です。天井から降ろしてみると、想像以上に長いんですよ。 正面から見るとわかりづらいですが、手前とは別に奥のほうにも1列あります。
松竹大谷図書館は、演劇、映画に関する貴重な資料を収集、整理、保存し、研究に協力したり閲覧の場を提供している公益財団法人の図書館です。歌舞伎の資料も多く所有しており貴重な存在です。今月からインターネットを通じて寄付や協力を募るクラウドファンディングに参加し、所蔵約44万点の資料のうち、約5,000点を占める「芝居番付」のデジタル化実現を目指し支援者を募集されています。詳しい内容は以下の歌舞伎美人のニュースをご覧ください。
※10月29日にプロジェクトが成立されたそうです(募集は終了しました)。ご協力くださった皆様、ありがとうございました。
松竹大谷図書館の公式WEBサイト
http://www.shochiku.co.jp/shochiku-otani-toshokan/
【歌舞伎美人ニュース】
歌舞伎の芝居番付をデジタル化するプロジェクト、支援者募集
http://www.kabuki-bito.jp/news/2014/09/post_1196.html
2014年9月公演、準備風景(その1)
9月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『菊畑』の菊棚。

『御所五郎蔵』(廓内夜更けの場)。 屋根を浮かせて、ちょっと位置を調整をしているところです。屋体の中と外で声をかけあいながら、慎重に進めていました。

お客様に姿が見えるときは「たっつけ」を着用しています。写真の4人のうち3人がこれを着ていますね。背中と腰には歌舞伎座の座紋が入っています。
日本テレビの昼の番組「ヒルナンデス!」にて、秀山祭九月大歌舞伎に関する特集が2週にわたって放送されます。秀山祭の魅力をさまざまな角度から紹介されるようで、私たち大道具も取材に協力させていただきました。よろしければご覧いただけましたら幸いです。
ヒルナンデス! 毎週月曜〜金曜 11:55−13:55
http://www.ntv.co.jp/hirunan/
放送予定日:2014年9月8日(月)、9月15日(月・祝)
*都合により変更されることもあります。あらかじめご了承ください。
秀山祭九月大歌舞伎
平成26年9月1日(月)~25日(木)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2014/09/post_79.html
その15 小道具さんとの役割分担(『関の扉』編)
小道具と大道具の役割分担については、「引っ越しで持っていけるものは小道具、持っていけないものは大道具」というのがおおまかな目安ですが、曖昧なものもたくさんあります。常磐津舞踊の大曲『関の扉』にも、そういう道具がありますので、クイズを作ってみました。
【大道具・小道具、どっちクイズ】
以下は、『関の扉』の道具です。1〜4のうち、小道具さんが担当されるものは、どれでしょうか?
(答えは、このページの下のほうにあります)
1:桜の樹木の花
2:つり下げられている雲
3:桜の小枝
4:高札

『関の扉』の道具帳
【答え】
1:桜の枝は、大道具が受け持ちます。
2:この雲は小道具さんです!
(演目によっては大道具が担当する雲もあります)
3:この小枝は、役者さんが手に持ちますので小道具さん。
4:この高札は、大道具。ただし、『熊谷陣屋』のように役者さんが手に持つものは小道具さんで作られます。ちなみに『京鹿子娘道成寺』の高札は大道具の担当です。
というわけで、正解は2と3でした。雲や高札は、私たちでも「あれ、どっちだっけ?」というものもありまして、今回も小道具さんに確認に行ったりしましたよ。雲は特に難しいですね。
2014年8月公演、準備風景(その3)
8月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『怪談乳房榎』の序幕「隅田堤の場」。小さな小屋は出茶屋。葭簀(よしず)が立てかけられています。背景の絵は浅草の隅田川の風景。待乳山(まつちやま)のふもと(下手側)には芝居小屋が描かれており、中村屋の定紋である角切銀杏(すみきりいちょう)の櫓(やぐら)があがっています(この写真には、写っていません。すみません!)。

『怪談乳房榎』の薮(やぶ)を作っているところです。大道具では「薮を打つ」という言い方をします。今月は薮はそれほど多くありませんが、たくさん出るときは薮を打つ作業も結構時間がかかります。薮は生きた植物を使うので、近くを通ると笹団子のようなふわっとした香りがします。