2015年4月公演、準備風景(その1)
4月歌舞伎座公演の「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『成駒家歌舞伎賑(なりこまやかぶきのにぎわい)木挽町芝居前の場 四代目中村鴈治郎襲名披露 口上』の仕込の様子。

4月の歌舞伎座は、両花道です。花道は、いつもは下手側に1本ですが、上手側に「仮花道」が設置されて、2本になります。 写真は、仮花道に敷いた所作台をぞうきんで拭いているところです! 腕っぷしの強い男子たちが、ごしごし拭いたのできれいになりました。

『廓文章(吉田屋)』。長くて重いものを起こしているところで、左側の人が足で押さえて補佐しております。
パリのユニクロ新商品発表会
2015年3月にパリのユニクロ(マレ店)で開かれた新商品発表会の舞台製作を弊社で担当させていただきました。当日は、市川猿之助丈が『お祭り』を披露されました。
このイベントは「松竹歌舞伎×ユニクロプロジェクト」の一環で、市川猿之助丈がプロジェクトアンバサダーをつとめておられます。

パリのユニクロ店内に設営した特設舞台(製作中の様子です)
松竹歌舞伎×ユニクロプロジェクトのWEBサイト
http://ut.uniqlo.com/kabuki/jp/
【歌舞伎美人ニュース】
猿之助が登場「松竹歌舞伎×ユニクロ プロジェクト」日本発売記念イベント
http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/03/post_1358.html
2015年3月公演、準備風景(その2)
3月歌舞伎座公演の「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『菅原伝授手習鑑 筆法伝授』の最初の場面(菅原館の奥殿)です。金の襖は、絵描きの仕事場で描きますが、こうして舞台に飾った後に手直しをしていきます。 照明がまだ出来上がっていないので、少し暗いですね。金襖は、照明の調整がとても難しいそうですよ。

『菅原伝授手習鑑 賀の祝』の桜、松、梅の木です。これらの木も、大道具が担当しています。この木は風景としての役割だけでなく、芝居にも少し関わってきますね。
「歌舞伎演目案内」というWEBサイトの「花と散った桜丸」の部分に、この場面の舞台写真が掲載されています。桜の前には、桜丸女房・八重、松の前には松王丸女房・千代、梅の前には梅王丸女房・春が座っています。
【歌舞伎演目案内】『菅原伝授手習鑑』
http://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/736

『菅原伝授手習鑑 寺子屋』の畳を敷いているところです。長いゴザのようなものを大道具では「上敷(じょうしき)」と呼んでいます(畳敷と表記することも)。畳の縁にもいろいろ種類があり、使い分けていますよ。寺子屋の場合は、黒縁です。
上敷の使い分けについては、以前記事を作りましたのでそちらをご覧ください。
【大道具の道具】その10 上敷(畳敷)その1
http://kabukizabutai.co.jp/saisin/odougunodougu/1578/
2015年3月公演、準備風景(その1)
3月歌舞伎座公演の「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

3月は『菅原伝授手習鑑』を通しで上演。写真は「車引(くるまびき)」の牛車です。

「筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)」。畳をみんなでゴシゴシと拭いております!
2月21日、22日に歌舞伎アカデミーこども歌舞伎スクール「寺子屋」の修了発表会が行われました。こども歌舞伎スクール「寺子屋」は、歌舞伎子役の演技と日本舞踊の実技を中心に和の心、礼儀を学ぶことを目的に2014年に開設されたものです。
これまでのお稽古の成果として『菅原伝授手習鑑 寺子屋』の一場面を木挽町ホール(歌舞伎座ギャラリー内)において披露され、その大道具を弊社が担当させていだきました。

木挽町ホール用に製作した『寺子屋』の大道具

無事に上演が終わり、お客様に挨拶をされる出演者のみなさん。助演として坂東亀三郎丈、中村蝶紫丈、澤村國矢丈もご出演されました。
発表会の詳しい様子は以下をご覧ください。
こども歌舞伎スクール第一期生修了発表会で『寺子屋』(歌舞伎美人ニュース)
http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/02/post_1328.html
歌舞伎アカデミーこども 歌舞伎スクール「寺子屋」
http://www.shochiku.co.jp/terakoya/
2015年2月公演、準備風景(その2)
2月歌舞伎座公演の「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『吉例寿曽我』の石段です。この大きな石段が後ろに倒れる「がんどう返し」という転換があります。 役者さんをのせたままで行いますので、みんなピリピリと神経をはっています。

『吉例寿曽我』の吊枝の梅を整えているところです。

『一谷嫩軍記 陣門組打』で、使う「波幕(なみまく)」です。これも大道具の担当です。 幕一枚で、舞台が海になります。
WEBサイトをリニューアルしました
2013年春にオープンいたしました弊社のウエブサイトですが、このたび一部リニューアルをいたしました。社員紹介のインタビュー記事なども、更新しております。また、TOPページには、松竹株式会社の創業120周年を記念して作成されたロゴも掲載しております(弊社は松竹株式会社の連結小会社です)。
これからもささやかな発信を続けてまいりたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
2015年2月公演、準備風景(その1)
2月歌舞伎座公演の「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『一谷嫩軍記 陣門組打』。単純な海にも見えますが、重層的な構造になっています。

『神田祭』の背景画を手直ししているところです。

持ち手の部分を長くしたオリジナルうちわ。桜や雪などを降らせる演目の場合、落ち損ねてひっかかったものを終演後にパタパタとはたいて、きれいにしています。別の演目のとんでもないときに、ハラリと落ちたりしたらいけませんからね。 (写真は『関の扉』終了後に撮影したもの)
2015年1月公演、準備風景(その3)
1月歌舞伎座公演の「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、初日の数日前などに行います。

『一本刀土俵入』。屋根の上にイチョウの葉がパラパラっと落ちている感じを出すために苦心していました。

『女暫』の冒頭に登場する回廊。この後、中央から左右に分かれて上手(かみて)と下手(しもて)にはけてなくなります。この転換を「引きわり」というんですよ。もちろん、大道具が人の力で動かしています。 写真で回廊のチェックをしているのは、塗方です。こうした塀などは絵描きではなく、塗方が担当します。汚れやキズなどがないか、細部まで調べています。

『女暫』の提灯です。歌舞伎座の座紋である鳳凰丸と、巴御前を勤められる俳優さんの紋(花かつみ)がはいっています。 「今回はすべて白地ですが、地色や紋の色は公演ごとに微妙に異なったりするので、提灯を注文する際は慎重に確認を行ってます」(提灯担当者談)。
その18 転換の種類「引きわり」
『女暫』の冒頭に登場する回廊です(2015年1月公演)。
奴たちが上手にはけると、この回廊は中央から左右に分かれて上手(かみて)と下手(しもて)にはけてなくなります。この転換を「引きわり」とよびます(大道具の転換担当者が人の力で動かしています)。
写真は「道具調べ」の際に、「引きわり」のタイミングや動きをチェックしているところです。