12月12日(木)から歌舞伎座ギャラリー(歌舞伎座タワー5階)にて、「歌舞伎 雪景色から早春へ」展がはじまります。私たち大道具も、道具帳の展示や背景の飾りなどでお手伝いをさせていただいております。今回の展示では、歌舞伎で降らせる雪の体験コーナーがあり、大道具の雪かごを展示しています。ご来場者のみなさまも雪を降らせてみることができます。ぜひおでかけくださいませ。
以下の写真は「歌舞伎 雪景色から早春へ」展の仕込み風景です。まだ小道具の展示などがされていないなど、本番の展示と異なるところがあります。あらかじめご了承ください。また、写真にはありませんが、衣裳などを展示したスペースもあります。

雪にまつわる演目の道具帳の実物も展示しています。ちなみに、今回のポスターになっている雪の風景は『恋飛脚大和往来 新口村』の道具帳です(すごく見えにくいですが、中央列の一番上の道具帳)。

「雪籠体験処(ゆきかごたいけんどころ)」。ひもを引っ張って、天井に吊るされた籠からハラハラと雪を降らせることができます。
かつて雪を降らせる際は、どこの劇場でもこの雪かごを用いていましたが、現在はネットを使って雪を降らせるやり方が主流となっています(12月の歌舞伎座公演『仮名手本忠臣蔵 十一段目』もネットを使っています)。しかし、雪かごならではの良さもあり、歌舞伎座舞台では舞台の一部分だけに雪を降らせたい場合などに、この古風なやり方を残しています。
【日程】
2013年12月12日(木)~2014年3月2日(日)
※12月30日(月)~1月3日(金)、1月23日(木)は休館
※12月15日(日)17:00閉館(最終入館16:30)
【開館時間】
10:00~18:00
※最終入館は17:30まで
【入場料(税込)】
一般:500円(小学生未満無料)
団体:400円(20名様以上)
歌舞伎座ギャラリーについての詳しい情報やお問い合わせ先については以下をご覧下さい。
松竹株式会社 歌舞伎座ギャラリー
http://www.shochiku.co.jp/notice/play/2013/11/009218.html
この度、弊社の芝田正利が舞台監督の金一浩司氏とともに、第19回ニッセイ・バックステージ賞を受賞しました。ニッセイ・バックステージ賞は舞台技術を裏から支え、優れた業績を挙げている舞台技術者に光を当て、その苦労に報いるために公益財団法人ニッセイ文化振興財団が創設した賞です。芝田正利については、ツケ打ちの最古参として歌舞伎座を中心に活躍し、さらに後進の指導育成にも尽力するなど歌舞伎の発展に寄与していることが受賞理由となりました。
2013年11月26日、日生劇場(東京・日比谷)において贈賞式が行われましたので、その様子をご紹介いたします。
※ニッセイ・バックステージ賞の詳細はこちらをご覧ください。

第19回ニッセイ・バックステージ賞 贈賞式(日生劇場の舞台にて) 公益財団法人ニッセイ文化振興財団理事長の田口 弥 様より賞状、賞品、目録などが贈呈されました。

(写真左)市川左團次丈より御祝辞を賜りました。そして左團次丈の見得に合わせて、芝田がツケを打つというサプライズも。これは左團次丈による粋な計らいで、この後、ツケを入れずに見得をするとどうなるかを実演され、ツケの効果を丁寧にお話くださいました。(写真右)推薦者の坂東三津五郎丈も、体調が回復され会場にかけつけてくださいました。前列左より坂東三津五郎丈、市川左團次丈、後列、芝田正利夫妻。

受賞者インタビューの様子。大道具の仕事をはじめたきっかけや、ツケ打ちの稽古の思い出などを語りました。

会場となった日生劇場のロビーには、金一浩司氏と芝田正利の写真も展示されました。
<受賞に関するメディア掲載>
歌舞伎 on the web トピックス記事
歌舞伎座舞台(株)芝田正利氏に第19回ニッセイ・バックステージ賞が贈られました
http://www.kabuki.ne.jp/cms/topics_20131201_684.html
2013年11月18日の読売新聞(朝刊)
ニッセイ・バックステージ賞を受賞した歌舞伎のツケ打ち 芝田正利さん
2013年11月21日の日本経済新聞(朝刊)
刻む拍子柝 歌舞伎に活気 役者の見得に効果音 「附け打ち」の最古参 芝田正利
日本経済新聞社のホームページ http://www.nikkei.com/
2013年11月27日の産経新聞(朝刊)「きょうの人」
歌舞伎「ツケ打ち」でバックステージ賞 芝田正利さん(69)
見得生かす技「役者さんに育てていただいた」
産経新聞のホームページ http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/131126/ent13112621460011-n1.htm
芝田正利(しばた まさとし)
ツケ打ち、大道具方
昭和19(1944)年、東京都江東区生まれ。長谷川大道具株式会社(現・歌舞伎座舞台株式会社)に勤める兄の勧めで昭和40年に同社の臨時雇用となり、翌年に正式入社。大道具の飾り込みや転換作業、経師、幕引きを担当。その後、菊五郎劇団付きのツケ打ちだった中村藤吉に師事。昭和45年11月『通し狂言 伽羅先代萩』で歌舞伎座のツケ打ちとして初舞台。歌舞伎座、舞踊会、海外公演などでツケ打ちを担当。飾り込みや舞台転換の際は、円滑に作業を進めるための指揮も執る。
平成9年第十三回日本舞台芸術家組合賞受賞。平成19年日本俳優協会再建立50周年記念永年功労者表彰。日本演劇興行協会における「平成21年度助成事業」表彰。平成24年度文化庁長官表彰。平成25年第19回ニッセイ・バックステージ賞受賞。
『仮名手本忠臣蔵』の大道具 「進物場の門」
歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識をご紹介します。
今回は「三段目」の進物場(しんもつば)の門にご注目いただきたいと思います。客席から見ると平面のようにも感じるかもしれませんが、立体で作られており、城郭などによく見られる高麗門という形式で作られています。大道具では、この門のことを「エヘンバッサリの門」と呼んでいます。お芝居をご覧になった方はすぐに察しがつくと思いますが、この場面では鷺坂伴内と中間(ちゅうげん)たちが加古川本蔵がやってきたときに襲いかかるお稽古をするという滑稽なやりとりがあります。伴内が「エヘン」とせきばらいをしたら、それを合図に中間たちが「バッサリ」と斬りかかる、つまりその台詞から「エヘンバッサリの門」という呼び名となっているというわけです。

『仮名手本忠臣蔵 三段目』進物場の道具帳

進物場の門。上演中以外は、こんな風に格納されています。門の前に置かれているのは、辻あんどん(常夜灯)です。
ちなみにこの門は、製作課が立体を作り、塗り方(第二美術課)が色を塗ったり瓦を描いたりして作られます。
製作課 インタビュー
http://kabukizabutai.co.jp/seisaku/
塗り方 インタビュー
http://kabukizabutai.co.jp/daini_bijyutsu/
歌舞伎 on the webに『仮名手本忠臣蔵』のストーリーや人物相関図、観劇のポイントなどを紹介したページがあり、伴内と中間たちの「エヘンバッサリの場面」の写真も掲載されています。
歌舞伎 on the web 歌舞伎演目紹介 仮名手本忠臣蔵
http://www.kabuki.ne.jp/enmokudb/enmoku0001/outline.html
11月、12月の『仮名手本忠臣蔵』の上演に合わせて、土産物店が並ぶ「木挽町広場」(歌舞伎座・地下2階)も忠臣蔵の世界を表現し、公演を盛り上げることになりました。弊社では、忠臣蔵をイメージしたバナーやなまこ塀など製作させていただきました。

設営の様子。なまこ塀の製作は、製作課が大工仕事で形をつくり、第二美術課(塗方)が色を塗りました。間近でご覧になってみると、面白いかもしれませんね。

2人とも第二美術課(塗方)です!

天井近くの赤と白のバナーも、弊社が担当しております。

こちらのなまこ塀には、来年のカレンダーがずらり。歌舞伎座で観劇なさる方も、そうでない方も木挽町広場で忠臣蔵の世界を楽しんでいただけましたら幸いです。

たくさんのお店が出店しております。お近くにお越しの際は、ぜひのぞいてみてくださいね。
『仮名手本忠臣蔵』の大道具 「出投げ2」
歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識をご紹介します。
今回は「出投げ(でなげ)」について詳しくご紹介します。
『仮名手本忠臣蔵 三段目』では前半が「進物場」、後半は「喧嘩場」とも称される「松の間刃傷の場」となり2つの場面があります。前半から後半に舞台が転換する際に「出投げ」があります(前触れなく、はじまりますのでお見逃しなく! 上手側から投げます)。
「出投げ」は舞台に上敷(じょうしき)と呼ばれる長いゴザのようなものを敷きますが、観客の目の前で丸めてある上敷を投げるようにして一気に舞台の端から端まで敷き詰めます。
以下は、「道具調べ」の際に撮影した「出投げ」の練習風景です。

「道具調べ」での出投げ。先輩陣が心配そうに見守っています。出投げをする人は「たっつけ」という黒い衣裳を着ています。

出投げの後には、先輩からさまざまなアドバイスが!

下手側で控えている補佐役にも技量が必要。こちらにも細かなアドバイスが出されています。
その5 舞踊会の造花
2013年10月26日、27日は、歌舞伎座にて「花柳流流祖生誕二百年祭 三代家元七回忌追善舞踊会」が催されます。今年の4月に歌舞伎座が新開場してから、単独の流派としては初めての舞踊会です。舞踊会の舞台には折々に花が登場しますが、これらの造花は大道具が準備しています。舞台裏で、出番を待つ造花を少しご紹介します。
『仮名手本忠臣蔵』の大道具 「出投げ1」
歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識をご紹介します。
大道具の転換は芝居の邪魔にならないように控えめに行っていますが、『仮名手本忠臣蔵 三段目』ではこの転換がちょっとした見せ場になるシーンがあります。それが「出投げ(でなげ)」です。転換の作業のひとつとして、舞台に上敷(じょうしき)と呼ばれる長いゴザのようなものを敷きますが、観客の目の前で丸めてある上敷を投げるようにして一気に舞台の端から端まで敷き詰めます。

手前の上敷が「出投げ」に使われるもの。きつく巻いてあるので細く見えるが、抱えてみるとかなりの重量。
出投げに使う上敷は、72尺(約22m)もあります。これを狙い通りにまっすぐ、端まで正確に転がすにはかなりの技術が必要。ちょっとでも方向が狂うと、客席の方向へ流れることもあるため、出投げを担当する者は前の月から終演後に稽古を重ねます。上敷はきっちり固く巻いておかないと舞台でうまく転がってくれません。上敷を巻く技術も重要(両手を巧みに使い、すごいスピードで巻いていきます)。

「出投げ」に使う上敷を真上から見たところ。直径約30cm。上敷の幅は88cm。
出投げを担当する者は、たった一人で舞台に出ます。経験者によると、一発勝負のため精神的にもかなり緊張するとのこと(この時、大向うから「大道具!」と声がかかることも)。
11月、12月は5人の担当者が交代で出投げをつとめます。
第19回ニッセイ・バックステージ賞の受賞者が発表され、弊社のツケ打ちの芝田正利が同賞を受賞することが決定しました。ニッセイ・バックステージ賞は舞台技術を裏から支え、優れた業績を挙げている舞台技術者に光を当て、その苦労に報いるために公益財団法人ニッセイ文化振興財団が創設した賞です(2005年には弊社の後藤芳世が同賞を受賞しています)。
※ニッセイ・バックステージ賞の詳細はこちらをご覧ください。
芝田正利(しばた まさとし)
ツケ打ち、大道具方
昭和19(1944)年、東京都江東区生まれ。長谷川大道具株式会社(現・歌舞伎座舞台株式会社)に勤める兄の勧めで昭和40年に同社の臨時雇用となり、翌年に正式入社。大道具の飾り込みや転換作業、経師、幕引きを担当。その後、菊五郎劇団付きのツケ打ちだった中村藤吉に師事。昭和45年11月『通し狂言 伽羅先代萩』で歌舞伎座のツケ打ちとして初舞台。歌舞伎座、舞踊会、海外公演などでツケ打ちを担当。飾り込みや舞台転換の際は、円滑に作業を進めるための指揮も執る。
平成9年第十三回日本舞台芸術家組合賞受賞。平成19年日本俳優協会再建立50周年記念永年功労者表彰。日本演劇興行協会における「平成21年度助成事業」表彰。平成24年度文化庁長官表彰。平成25年第19回ニッセイ・バックステージ賞受賞。
『仮名手本忠臣蔵』の大道具 「道具帳」
歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識を、道具帳をご覧いただきながらご紹介したいと思います。
【四段目 表門城明渡しの場】
由良之助が仇討ちの決意を固め、城館を明け渡して去っていく場面の大道具です。遠ざかっていく風景を「引き道具」というちょっと変わった手法で表現します。最初は上の道具帳のように道具が飾ってありますが、ゆっくりと道具を舞台後方に引いていきます(下の道具帳)。少し角度がつけてあるのは、花道の七三にいる由良之助に対して門が直角に向くようにするためです。芝居の雰囲気に溶け込むように、動かす速さやタイミングにも心を配ります。
同じ場面でも、関西型の演出では表現方法が異なります。同じように背景が遠ざかっていく様子を表すのですが、実際に道具を後ろに動かすのではなく、背景画の図案を近景から遠景に変えることで門から遠ざかったことを表します。
【七段目 祇園一力茶屋の場】
京都祇園町を舞台にした華やかな場面。歌舞伎では家などの立体物を屋体(やたい)と呼び、屋体の形や舞台から建物の床までの高さ(大道具ではこれを「足」とよびなわらす)は各演目・場面ごとに決まっています(中央の屋体は、「高足(たかあし)」という高さ)。屋体にかけられている階段は三段の白州梯子(しらすばしご)。上手(かみて)の屋体は、お軽の部屋で二階という設定です。この場面では様式的な動きがあるため舞台の上に「所作台(しょさだい)」という檜の板を敷き詰めます。
下の道具帳は同じ場面ですが、のれんが開いたところで、その奥に見える風景は俳優さんの意向に合わせた図案を描きます(よく見ないと気付かないくらいの微妙な違いですが)。
ちなみに、この場面でも関西型では道具が異なります。中央の屋体の「足」は関東型よりも七寸(約21cm)低く、それに従って階段の段数が一段少なくなります(白州梯子ではなく石の階段)。また、屋体の色味や塀の柄なども異なります。
11月、12月の歌舞伎座の公演では全て関東型で上演されます。一般的に、関西型の演出は写実的、関東型は様式的といわれ、小道具や衣裳、かつら、そして大道具もそれに準じているとされています。
歌舞伎座
吉例顔見世大歌舞伎
平成25年11月1日(金)~25日(月)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/11/post_68.html
十二月大歌舞伎
平成25年12月1日(日)~25日(水)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/12/post_69.html
2013年10月公演、準備風景
本日(10/1)より芸術祭十月大歌舞伎がはじまりました。
今月の歌舞伎座は『通し狂言 義経千本桜』です。昨日、一昨日の公演準備の様子をレポートします。

舞台の幕を扱うのも大道具の仕事です。この写真は「浅葱幕(あさぎまく)」を巻いているところです。幕を吊っているバトンを降ろしながら、くるくると手早く巻きます。
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幕について、道具帳の担当者(舞台下)と絵描き(舞台上)で打合せをしています。

「大物浦(だいもつのうら)」の大きな岩の形を手直ししているところです。クライマックスでは知盛が大岩の上に立ちますので、各階のいろいろな席からチェックして俳優さんが見えにくくならないように配慮しています。
屋体や岩の土台を作るのは、製作課です。
製作課・先輩後輩インタビューもぜひご覧ください!
http://kabukizabutai.co.jp/seisaku/
芸術祭十月大歌舞伎
10月1日(火)~25日(金)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/10/post_67.html