最新情報

  • 大道具の道具

    大道具では畳の部屋をあらわすときに「上敷(畳敷)」という長いゴザを用います。読み方は「じょうしき」です。畳の縁(へり)の使い方には、きまりがあり、以下のように使い分けています。
    田舎家や生世話の屋体(長屋など)は、縁なし。
    商家は、黒縁。
    武家は、高麗縁(こうらいべり)。

    2014年4月の演目では、『髪結新三』の新三の家は「縁なし」、白子屋と家主の家は「黒縁」。『一條大蔵譚』奥殿は、「高麗縁」です。

    上敷

    左:『髪結新三』富吉町新三内の場 右:同、白子屋見世先の場

    高麗縁

    『一條大蔵譚』奥殿

    高麗縁

    高麗縁

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    2014.04.20
  • 大道具の道具

    「囲い(かこい)」とは「大臣囲い」の略で、舞台の上手と下手の黒御簾(くろみす)の前に飾る絵のことをいいます。

    囲い

    2014年4月公演の舞踊『壽春鳳凰祭』の「囲い」。演目名にちなんで、歌舞伎座の座紋「鳳凰丸(ほうおうまる)」が描き込まれています。

     

    囲い

    2014年4月公演の『女伊達』の「囲い」。

     

    囲い

    「囲い」の側面の始末をしているところ。

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    2014.04.12
  • 大道具の道具

    『仮名手本忠臣蔵 九段目』は、由良之助が住む山科の閑居という設定で、ふすまには漢詩が書かれています。この文字も大道具の仕事の範囲となります。

    漢詩は、唐の詩人・白居易(白楽天)の「折剣頭」で、6枚の襖に手書きで文字を書いています。
    「拾得折剣頭」(折れた剣の切っ先を拾った)ではじまり、まっすぐなために折れてしまった剣の尊さがつづられています。
    漢詩の内容も味わいがありますので、興味のある方は、書籍などで訳や意味を調べてみられてもいいかもしれません。
    (漢詩は公演によって異なる場合もありますが、近年の歌舞伎座では「折剣頭」が多く使われています)

    ふすま

    2014年1月歌舞伎座公演の『九段目』の大道具(2013年12月の月末に行われた道具調べにて撮影)

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    2014.01.20
  • 大道具の道具

    来月(2014年2月)、歌舞伎座では『通し狂言 青砥稿花紅彩画』が上演されます(夜の部)。昨年の四月に歌舞伎座が新開場した際は『弁天娘女男白浪』という外題(げだい)で浜松屋見世先の場や稲瀬川勢揃いの場などが上演されましたが、今回は序幕から通しての上演となります。ちなみに、今回と同様に歌舞伎座で通して上演されたのは、2008年5月でした。

    『通し狂言 青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)白浪五人男』

    序 幕  初瀬寺花見の場  ←★2014年2月はここから全て上演
    神輿ヶ嶽の場
    稲瀬川谷間の場
    二幕目  雪の下浜松屋の場  (←2013年4月上演)
    同  蔵前の場
    稲瀬川勢揃の場   (←2013年4月上演)
    大 詰  極楽寺屋根立腹の場 (←2013年4月上演)
    同  山門の場   (←2013年4月上演)
    滑川土橋の場    (←2013年4月上演)

    二幕目の「雪の下浜松屋の場」は、美しい武家の娘が一転して片肌を脱ぎ「知らざぁ言って聞かせやしょう」という名調子で客席を沸かせる有名な場面です。
    この場面には2種類の「のれん」がかかっていますが、これは大道具の扱いとなっています。

    浜松屋道具帳

    『青砥稿花紅彩画 雪の下浜松屋の場』の道具帳

    屋体の上のほうにかかっている長いものが「軒のれん(のきのれん)」。

    軒のれん

    軒のれん

    下手側の入り口にある、大きな文字で店名が書かれているものが「日よけのれん」です。

    日よけのれん

    日よけのれん

    現代の漢字表記では、「はままつや」の「はま」の字は「浜」を用いていますが、お芝居の中ののれんでは古い字体を使っています。「浜」の古い字体はいろいろな種類がありますが『くずし字解読辞典 増補版』(児玉幸多編、近藤出版社、昭和45年初版発行)には、以下の2種類の文字が主要なものとして掲載されています。ごくわずかな違いで、点があるかないかです。

    濱

    お芝居の中ののれんでは、字面のおさまりがよいので点のある (1) のほうを使わせていただいています。
    浜の字
    歌舞伎座新開場柿葺落
    二月花形歌舞伎
    平成26年2月1日(土)~25日(火)
    http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2014/02/post_71.html

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    2014.01.14
  • 大道具の道具

    2014年1月の歌舞伎座、壽初春大歌舞伎に『松浦の太鼓』が出ますので、少し道具をご紹介します。
    『松浦の太鼓』は忠臣蔵外伝物の人気作で、赤穂浪士の吉良邸討入りの前日から当日を描いたお芝居です。今回ご紹介するのは、その最後の場面である松浦邸の玄関先です。まずは、道具帳をご覧ください。

    『松浦の太鼓』松浦邸の玄関先の道具帳

    『松浦の太鼓』松浦邸の玄関先の道具帳

    この玄関部分の製作の様子を以下にご紹介します。

    『松浦の太鼓』

    玄関部分を「引き枠(ひきわく)」に組んでいるところ。

    ふすま

    ふすまの図案は、立涌に菊です。ちなみに『魚屋宗五郎』で、宗五郎の妹を手打ちにした旗本の玄関も似たようなスタイルです(ふすまの模様も立涌に菊の図案)。

    舞良戸

    赤い矢印は「舞良戸(まいらど)」といいます。一般の建築物にも舞良戸はありますが、歌舞伎の大道具ではそのエッセンスを取り出して芝居の世界にふさわしいようにアレンジをしています。 たとえば、本物の舞良戸はもう少し桟(さん)の目が細かいのですが、芝居の世界では、ぱっと見てそれとわかるように、桟の目を粗くし黒い縁をつけてあります。建具の幅も広いと邪魔になるので、細めにしています。

    『松浦の太鼓』の演目解説(歌舞伎人HP)
    壽初春大歌舞伎 平成26年1月2日(木)~26日(日)
    http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2014/01/post_70-Highlight.html

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    2013.12.20
  • 大道具の道具

    歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識をご紹介します。

    今回は「三段目」の進物場(しんもつば)の門にご注目いただきたいと思います。客席から見ると平面のようにも感じるかもしれませんが、立体で作られており、城郭などによく見られる高麗門という形式で作られています。大道具では、この門のことを「エヘンバッサリの門」と呼んでいます。お芝居をご覧になった方はすぐに察しがつくと思いますが、この場面では鷺坂伴内と中間(ちゅうげん)たちが加古川本蔵がやってきたときに襲いかかるお稽古をするという滑稽なやりとりがあります。伴内が「エヘン」とせきばらいをしたら、それを合図に中間たちが「バッサリ」と斬りかかる、つまりその台詞から「エヘンバッサリの門」という呼び名となっているというわけです。

    『仮名手本忠臣蔵 三段目』進物場の道具帳

    『仮名手本忠臣蔵 三段目』進物場の道具帳

     

    進物場の門

    進物場の門。上演中以外は、こんな風に格納されています。門の前に置かれているのは、辻あんどん(常夜灯)です。

    ちなみにこの門は、製作課が立体を作り、塗り方(第二美術課)が色を塗ったり瓦を描いたりして作られます。

    製作課 インタビュー
    http://kabukizabutai.co.jp/seisaku/

    塗り方 インタビュー
    http://kabukizabutai.co.jp/daini_bijyutsu/

    歌舞伎 on the webに『仮名手本忠臣蔵』のストーリーや人物相関図、観劇のポイントなどを紹介したページがあり、伴内と中間たちの「エヘンバッサリの場面」の写真も掲載されています。

    歌舞伎 on the web 歌舞伎演目紹介 仮名手本忠臣蔵
    http://www.kabuki.ne.jp/enmokudb/enmoku0001/outline.html

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    2013.11.23
  • 大道具の道具

    歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識をご紹介します。

    今回は「出投げ(でなげ)」について詳しくご紹介します。
    『仮名手本忠臣蔵 三段目』では前半が「進物場」、後半は「喧嘩場」とも称される「松の間刃傷の場」となり2つの場面があります。前半から後半に舞台が転換する際に「出投げ」があります(前触れなく、はじまりますのでお見逃しなく! 上手側から投げます)。
    「出投げ」は舞台に上敷(じょうしき)と呼ばれる長いゴザのようなものを敷きますが、観客の目の前で丸めてある上敷を投げるようにして一気に舞台の端から端まで敷き詰めます。

    以下は、「道具調べ」の際に撮影した「出投げ」の練習風景です。

    出投げ

    「道具調べ」での出投げ。先輩陣が心配そうに見守っています。出投げをする人は「たっつけ」という黒い衣裳を着ています。

     

    出投げ

    出投げの後には、先輩からさまざまなアドバイスが!

     

    出投げ

    下手側で控えている補佐役にも技量が必要。こちらにも細かなアドバイスが出されています。

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    2013.10.29
  • 大道具の道具

    2013年10月26日、27日は、歌舞伎座にて「花柳流流祖生誕二百年祭 三代家元七回忌追善舞踊会」が催されます。今年の4月に歌舞伎座が新開場してから、単独の流派としては初めての舞踊会です。舞踊会の舞台には折々に花が登場しますが、これらの造花は大道具が準備しています。舞台裏で、出番を待つ造花を少しご紹介します。

    c
    舞踊会の造花
    舞踊会の造花

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    2013.10.26
  • 大道具の道具

    歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識をご紹介します。

    大道具の転換は芝居の邪魔にならないように控えめに行っていますが、『仮名手本忠臣蔵 三段目』ではこの転換がちょっとした見せ場になるシーンがあります。それが「出投げ(でなげ)」です。転換の作業のひとつとして、舞台に上敷(じょうしき)と呼ばれる長いゴザのようなものを敷きますが、観客の目の前で丸めてある上敷を投げるようにして一気に舞台の端から端まで敷き詰めます。

    出投げ

    手前の上敷が「出投げ」に使われるもの。きつく巻いてあるので細く見えるが、抱えてみるとかなりの重量。

    出投げに使う上敷は、72尺(約22m)もあります。これを狙い通りにまっすぐ、端まで正確に転がすにはかなりの技術が必要。ちょっとでも方向が狂うと、客席の方向へ流れることもあるため、出投げを担当する者は前の月から終演後に稽古を重ねます。上敷はきっちり固く巻いておかないと舞台でうまく転がってくれません。上敷を巻く技術も重要(両手を巧みに使い、すごいスピードで巻いていきます)。

    出投げ

    「出投げ」に使う上敷を真上から見たところ。直径約30cm。上敷の幅は88cm。

    出投げを担当する者は、たった一人で舞台に出ます。経験者によると、一発勝負のため精神的にもかなり緊張するとのこと(この時、大向うから「大道具!」と声がかかることも)。
    11月、12月は5人の担当者が交代で出投げをつとめます。

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    2013.10.24
  • 大道具の道具

    歌舞伎座では11月、12月に二ヶ月連続で『仮名手本忠臣蔵』が上演されます。知っておくと観劇がちょっと楽しくなる豆知識を、道具帳をご覧いただきながらご紹介したいと思います。

    【四段目 表門城明渡しの場】
    四段目 城明渡し

    由良之助が仇討ちの決意を固め、城館を明け渡して去っていく場面の大道具です。遠ざかっていく風景を「引き道具」というちょっと変わった手法で表現します。最初は上の道具帳のように道具が飾ってありますが、ゆっくりと道具を舞台後方に引いていきます(下の道具帳)。少し角度がつけてあるのは、花道の七三にいる由良之助に対して門が直角に向くようにするためです。芝居の雰囲気に溶け込むように、動かす速さやタイミングにも心を配ります。
    同じ場面でも、関西型の演出では表現方法が異なります。同じように背景が遠ざかっていく様子を表すのですが、実際に道具を後ろに動かすのではなく、背景画の図案を近景から遠景に変えることで門から遠ざかったことを表します。

    【七段目 祇園一力茶屋の場】
    七段目 茶屋場
    京都祇園町を舞台にした華やかな場面。歌舞伎では家などの立体物を屋体(やたい)と呼び、屋体の形や舞台から建物の床までの高さ(大道具ではこれを「足」とよびなわらす)は各演目・場面ごとに決まっています(中央の屋体は、「高足(たかあし)」という高さ)。屋体にかけられている階段は三段の白州梯子(しらすばしご)。上手(かみて)の屋体は、お軽の部屋で二階という設定です。この場面では様式的な動きがあるため舞台の上に「所作台(しょさだい)」という檜の板を敷き詰めます。
    下の道具帳は同じ場面ですが、のれんが開いたところで、その奥に見える風景は俳優さんの意向に合わせた図案を描きます(よく見ないと気付かないくらいの微妙な違いですが)。
    ちなみに、この場面でも関西型では道具が異なります。中央の屋体の「足」は関東型よりも七寸(約21cm)低く、それに従って階段の段数が一段少なくなります(白州梯子ではなく石の階段)。また、屋体の色味や塀の柄なども異なります。

    11月、12月の歌舞伎座の公演では全て関東型で上演されます。一般的に、関西型の演出は写実的、関東型は様式的といわれ、小道具や衣裳、かつら、そして大道具もそれに準じているとされています。

    歌舞伎座
    吉例顔見世大歌舞伎
    平成25年11月1日(金)~25日(月)
    http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/11/post_68.html

    十二月大歌舞伎
    平成25年12月1日(日)~25日(水)
    http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/12/post_69.html

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    2013.10.17
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