6月歌舞伎座公演の製作準備や「道具調べ」の様子をご紹介します。「道具調べ」とは、本番通りに道具を飾ってきちんとできているかを確認したり、手直しをしたりするもので、公演前月の末ごろに行います。
『蘭平物狂(らんぺいものぐるい)』では、菊の花がたくさん登場します。
以前、歌舞伎の造花についての特集記事をつくりましたので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
【連載】歌舞伎座の大道具を支える職人 造花
その1 http://kabukizabutai.co.jp/saisin/tokusyuu/369/
その2 http://kabukizabutai.co.jp/saisin/tokusyuu/520/
その3 http://kabukizabutai.co.jp/saisin/tokusyuu/535/
『実盛物語(さねもりものがたり)』。写真に写っている階段は「入れ歯」と呼んでいるもので、高さは七寸。ちなみに屋体(やたい)の高さは、「常足(つねあし)」で一尺四寸(階段の2倍の高さ)。このように歌舞伎の屋体の足の高さは、七寸が基本単位となっています。「入れ歯」は今回は1段ですが、『吃又』などでは3段の入れ歯が使われます。
この幕は「網代幕(あじろまく)」です。『蘭平物狂』では、御殿から奥庭へと転換する際に、この幕を使います。 歌舞伎では多種多様な幕が使われますが、幕の種類によって扱う係が異なります。大道具では、この網代幕などの「道具幕」、三色縦縞の「定式幕(じょうしきまく)」、「浅葱幕(あさぎまく)」など、たくさんの幕を担当しています。幕も種類や扱い方など、現場を追いかけてみると、なかなか奥が深い世界です。