その1 魔脅し
これは『俊寛』に登場する赦免船などの船首を飾る房で「魔脅し(まおどし)」と呼ばれるものです。写真の右は『俊寛』に使うもので、左側は『俊寛』よりも大きな船(御座船)に用います。この「魔脅し」は、一般では「さがり」「かもじ」と言うこともあるようです。
「かもじ」とは髪の毛のこと。たしかに色が黒なので髪の毛に似ていますね。これには逸話があって、昔、海が荒れた時に海の神を鎮めるために人柱の代わりに髪の毛を切って海に投げ入れたと言われています。「魔脅し」もその名残なのでしょう。航海の安全を祈る昔の人の心が芝居の世界にも投影されています。
『俊寛』は、6月の歌舞伎座の公演で上演されます。
歌舞伎座新開場 杮葺落六月大歌舞伎
平成25年6月3日(月)~29日(土)
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/06/post_57-ProgramAndCast.html
2013/05/29