社員紹介
先輩×後輩インタビュー
各職場で働いている社員が、日々の仕事内容や現場の雰囲気、入社当初の様子などを語りました。
「ものをつくる」
弐 第一美術課
手足を伸ばして
大きくのびやかに画を描く
先輩:松井利裕
1989年生まれ。第一美術課課長。立教大学文学部在籍中、授業を通して歌舞伎に触れる。大学卒業後、歌舞伎座舞台に入社。現在13年目。
後輩:丹羽美緒
1998年生まれ。多摩美術大学美術学部を卒業。空間演出への興味から商業施設の内装会社に就職、その後2022年に歌舞伎座舞台に入社。現在3年目。
第一美術課は「絵描き」とも呼ばれますが、どんなことをしていますか。
松井:歌舞伎の芝居や舞踊のための背景画、襖(ふすま)の絵などを描いています。平面だけでなく岩や桜の木などの立体物にも彩色します。それから木枠に布を張るなど絵を描く土台を作ることも大切な仕事のひとつです。
私たちの会社ではセットの建物の壁や柱、塀などに色を塗る仕事は「塗方(第二美術課)」が担当しており、私たちは絵画的な部分に集中して仕事をしています。
私たちの会社ではセットの建物の壁や柱、塀などに色を塗る仕事は「塗方(第二美術課)」が担当しており、私たちは絵画的な部分に集中して仕事をしています。
歌舞伎のための背景画は一般的な絵と、どのように違いますか。
松井:お芝居や舞踊が発端となって作られる、という点が一般の絵との最大の違いです。それからサイズがかなり大きいこと、舞台に飾って客席から見てもらうので絵を見る人からの距離がすごく離れているところなども一般の絵とはかなり違います。大バックと呼ばれる背景画は、一枚の幅が14.4mあります。
絵は実寸の1/50で描かれた「道具帳」という絵を基に、主に刷毛や筆を使って描いていきます。
絵は実寸の1/50で描かれた「道具帳」という絵を基に、主に刷毛や筆を使って描いていきます。
下絵は道具帳を手にもってフリーハンドで描いていきますね。
松井:道具帳には細かな指示は書かれていません。松の高さはこのくらいかなとか、桜だったら花はどのあたりを多くして、どのあたりを減らすのがいいのかを判断しながら下絵を描いていきます。道具帳の絵の雰囲気をどうやったら表現できるかを考えなくてはならないのですが、そのあたりが難しくもあり、おもしろいところでもあります。
丹羽さんは今3年目ですが、入社してすぐのころはどのような作業をしていましたか。
丹羽:最初のうちは洗い場で刷毛やバケツを洗うことや、絵を描く土台になる木の枠を作ることなどを主にやっていました。大きなものを運ぶことは日常的によくやるので、身体はよく動かします。以前に勤めていた会社でも身体は使っていましたが、使う筋肉が違うので、最初のうちは筋肉痛になったりしていました。先輩方の仕事のスピードがとにかく速くて、ぼーっとしている間にどんどん道具が仕上がっていくことに驚いていました。
三年目に入って、今はいかがですか。
丹羽:日常の仕事にも慣れてきて、桜の花びらや松の葉を描くなど「仕上げ」と呼ばれる作業に入れてもらえるようになってきました。できることが少しずつ増えてきて、うれしいです。
先輩の松井さんから見て、丹羽さんのお仕事ぶりはいかがですか。
松井:入社して2-3年くらい経つと、身体で覚えるべき基礎的なところが身についてきます。丹羽さんは意欲的に仕事に取り組んでくれますし、技能面でもできることが増えてきていて頼もしいです。絵を描く土台になる布の発注を担当してもらっているのですが、不足がないように気を配ってくれているので、安心して任せています。
みんなで一緒に絵を描いたり、休憩時間も同じ空間で過ごすことが多いですが、職場の雰囲気はいかがですか。
丹羽:休憩時間には、ちょっと昼寝をしたり自由な雰囲気です。一緒に働く人たちとの会話も多く、コミュニケーションがよくとれている職場だと感じます
松井さんは課長として、みんなをまとめる立場ですが、どんな人と一緒に働いていきたいでしょうか。
松井:ここでの仕事は、いろんな能力を必要とします。色彩感覚がいい、ものの形を捉えるのが得意、体力がある、芝居に興味がある、日本画の知識がある、良好な対人関係を築ける、暗算が得意、スケジュール管理が得意など、さまざまです。すべてそろっている必要はなくて、1つでも得意なものがあれば、ここで発揮できます。いろんなタイプの人が集まってきてもらえると、仕事の幅が広がっていくと思います。
技術面については入社してから丁寧に教えていきますので安心してください。
(この記事は、2024年8月に取材した内容に基づいて作成しています)
技術面については入社してから丁寧に教えていきますので安心してください。
(この記事は、2024年8月に取材した内容に基づいて作成しています)